煩悩ラプソディ
第45章 流星エピローグ/AN
少しずつ奥へ奥へと進んでくる心地。
いつしか痛みらしい痛みは消え、中が埋め尽くされていくような感覚に変わっていた。
「かずくんっ…もうちょっと、だから…」
「んっ、へー…きっ…」
進んでは戻り、戻っては進みを繰り返す雅紀の動きに段々と身を任せられるようにもなってきて。
さっきより近くにある気がする雅紀の顔。
それが"もうちょっと"という言葉に確信をもたらす。
左手はぎゅっと雅紀の手と繋がれたまま。
ふいに忘れていた場所へ刺激が訪れた。
「んぁっ…あっ、」
「ここ…触ると楽じゃない…?」
後ろへ意識を集中していたせいで完全に無防備だった俺の中心へ、雅紀の大きな手の平が緩く添えられて。
撫でるように動かしながらも腰を押し進めてくる雅紀。
同時に与えられる刺激にどっちに意識を持っていったらいいか分からなくなって。
「やっ、まさきっ…そっちダメっ、」
「ダメ…?でも勃ってきたよ…?」
「あっ!んぅ…ダメ、だってば…」
右手を伸ばして雅紀の手を制しようとするけれど。
拓かれていくタイミングと擦る動きが絶妙でどうにも力が入らない。
「ダメじゃないよかずくん、ほら…入ったっ…」
「んっ、ンっ…はぁっ…」
くちゅ、と粘着音を出して太腿の裏にしっとりと肌が当たる感触を覚え。
前への刺激に気を取られている内に、気付いたら中は目一杯雅紀で埋め尽くされていた。
「すっごいね…全部入ったよ」
腰を折って近付いてきた雅紀の顔は言い様のない達成感で溢れていて。
うっすら涙すら浮かべて俺を見つめる瞳が細められ。
「ひとつになったね…俺たち…」
「…っ」
「ね…かずくん…」
言いながらゆっくりと体を倒してきた顔が至近距離で止まった。
繋いでいた左手は顔横へと縫い止められきゅっと指が絡まって。
「好きだよ…」
「っ…」
「好き、かずくん…」
鼻先で囁いた後に降ってきた唇。
沿うように重なって、まるで今の俺たちみたいだって。
雅紀っ…
「俺も…」
「……ん、」
「俺も好きっ…」
ぎゅうっと首に腕を絡ませて今度は俺から雅紀の唇に吸い付いた。