煩悩ラプソディ
第10章 星に願いを/AN
「ごめんね、こんな夜中に」
それからまたブランコに腰を下ろし取り留めのない話を暫く続けたあと、にのがスマホで時間を確認しながら口を開いた。
「ううん、久しぶりにこんな星見れて良かったよ?」
「ふふ、そっか」
伏し目がちに笑いながら、立ち上がって一呼吸置く。
「あ、」
「あの、」
ほぼ同時に口を開いてしまったタイミングの良さに、二人して吹き出して。
「うん、なに?」
覗き込むように促され、出口へと歩き出したにのに並行して話を続ける。
にのの家は割とここから近いので、途中まで一緒に帰ることにした。
なんだか彼女を家まで送るみたいで内心苦笑を漏らす。
…今思えば、俺の話なんてどうでも良かったんだ。
何もかもすべては、あの時に終わりを告げていた。
あと10分、いや…
あと1分でも早かったら。
こんなことには、ならなかったのに。
…ならなかったのに。