煩悩ラプソディ
第45章 流星エピローグ/AN
帰り際、生田から受けた"相談"というのが。
『…思い出作りデート?』
『うんまぁそんな感じ?アイツさ、口ではもう吹っ切れたとか言ってるけどさ、全然吹っ切れてない顔してんのよ』
困ったように笑いながらそう続ける生田から、更に具体的な提案があった。
『だからさ、今度の日曜みんなでどっか行かない?相葉とお兄さんと、潤と俺と』
『えぇっ!?そんな急にっ…』
『ほんともうこれっきりにするから!頼む!これで潤も完全に吹っ切れると思うから!』
『え~…』
こうやって必死に頼み込まれたらやっぱり断れないのが俺の短所なワケで。
でも一つ気がかりなことがあった。
かずくんはきっと嫌がるに決まってる。
だって俺が松潤に告白されたって知っただけでめちゃくちゃ怒ったんだもん。
俺かずくんを説得できる自信ないんだけど…
『あ、お兄さんには櫻井先輩からも言ってもらえるから』
『え?』
『潤の最後の思い出作りに協力してくれるって』
『えっ…?』
それで今朝呼び出してたってワケか。
いやいや…こうなったらもうほんとに断れないじゃん!
『じゃあそういうことで!日曜な!あ、行く先リクエストあったら教えろよ~!』
『えっ、ちょっ生田!』
そうして爽やかな笑顔で去って行く生田に、相談ではなくほぼ強制的な形で"思い出作りデート"を決められてしまったってワケで。
もしかしたら今かずくんに来たLINEはそのことなんじゃないかと。
もしくは昨日のエッチのことをからかう内容だったりして。
どっちにしても状況がヤバくなること必至。
ドキドキしながらチラとかずくんを見遣ると。
「…ふふっ、なにこれ」
吹き出すように頬を緩めた顔が視界に入って。
…え?
「日曜かぁ…雅紀空いてるよね?」
「えっ?あ、うん…」
「つーか入試前の決起会で遊園地ってなによ、ねぇ?」
「え?遊園地?」
「なにお前聞いてないの?翔ちゃん言ったって言ってるけど」
いや待って、聞いてねーし!
きょとんとした顔でスマホを指差すかずくんに恐る恐る訊ねてみると。
「えっと…櫻井先輩なんて?」
「だから、俺とお前と翔ちゃんで今度の日曜遊園地行こうって」
……はぁぁぁぁぁぁーっ!?