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煩悩ラプソディ

第45章 流星エピローグ/AN






迎えた日曜日。


あれから何度か櫻井先輩にこのプランで大丈夫なのかと再確認を繰り返したけれど。


終始"俺に任せろ"の一点張りで。


生田たちにも偶然を装って現地で合流するように、と櫻井プランを伝えているらしい。


不安を抱えつつ予定より早く着き過ぎた集合場所の駅。


今日も真冬の気温の中、相反して俺の体温はいつもより高い気がしてる。


それもこれも、今日のかずくんの可愛さのせい。


普段はほとんど制服のブレザーか部屋着のスウェットしか見ていなかったから。


出掛ける時はこんな感じになるんだって。


さっきも家でパーカーとセーターどっちがいいかな?って聞いてきたりとかさ。


意外と女の子みたいに悩むんだなぁって可愛くなっちゃって。


俺がセーターがいいって言ったらその通りにしてくれて、じゃあこの細身のジーンズは?って言ったらそれを履いてくれた。


そしたら俺の服も見たいって言いだして、今日はお互いが決めた服を着て出てきたんだ。


マフラーに口元を埋めている横顔をチラ見する。


寒さで耳が赤くなっているのも無性に可愛いと思ってしまう俺はだいぶかずくんにヤられてるな。


そんなことを思っているとふいにチラッと視線が絡まって。


でもすぐに逸らされた後、更にマフラーに埋める口元。


耳たぶも一瞬にしてさっきより赤くなったような。


「…かずくん?どうかした?」

「……ずりぃよ」

「うん?なに?」


埋もれた口元では聞き取れず少し屈んで聞き直せば。


「…ずりぃって」

「え?なにが?」

「…そんなかっこいいとかさ、知らなかったし」

「……え?」

「ちゃんと見れないじゃん…お前のこと」


目を合わさずに真っ直ぐ前を向いたまま。


ぼそぼそと呟いたその内容にみるみる嬉しさが込み上げてきて。


「え、俺かっこいい?ほんと?」

「…うん」

「どこが?どの辺がかっこいい?」

「っ…そんなの言うかよ」

「え~なんで?言ってよ!」

「…ちょっ、やめろ触んなっ!」


余りに嬉しくてすべすべの頬を両手で撫で回したら全力で抵抗されたけど。


かずくんからかっこいいって言われるなんて!


やっぱ今日のデート最高かも!


テンションが上がってじゃれ合っていると、遠くからこちらに走ってくる人影が目に留まった。

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