煩悩ラプソディ
第10章 星に願いを/AN
"相葉さんへ"
表にそう書かれたカードと、小さなイヌのぬいぐるみが出てきた。
薄茶色の、耳が垂れた小さなイヌ。
ふとぬいぐるみを持つ指に違和感を覚え反転させてみると、そこにはゼンマイがついていて。
動くのかな…。
ゼンマイを静かに回すと、途切れ途切れに音色を奏で始めた。
それがオルゴールだと気付き、思いもよらないにのからの贈り物に驚きを隠せない。
事故のショックで壊れたんだろうか。
上手く音が聴き取れず、ぬいぐるみを耳元に近付けてよくよく聴いてみる。
ーー…”星に願いを”?
ふいに、数日前のことが頭を過ぎる。
あの煌めく一面の星空と、にのの真剣な眼差し。
そういえばここんとこずっと曇ってたのに、あの日だけすごく晴れてたっけ…。