
例えばこんな日常
第14章 純情ではもう遅い/OM
寝そべるその姿を凝視しつつ、すうっと深呼吸して恐る恐る傍に座り込む。
「痛くすんじゃねぇぞ」
両手を顔の前で組んで、その手の甲に顎を乗せた大野さんに横目で釘を刺され。
「っ、はい…」
またごくっと息を呑んで、そろそろと背中に手を伸ばした。
…そう、今から俺は大野さんにマッサージをする。
『ゲームに勝った方が負けた方からマッサージしてもらう』なんて小学生並みの賭けを、大真面目で大野さんに提案されたから。
つーかあんな賭けなんかナシで俺にマッサージさせることぐらい、大野さんにとっては容易いことなのに。
でも敢えてそれをやるところが、王様なあの人の嗜みらしい。
だけど、俺ももちろん満更でもないワケで。
だって…大野さんにサワレルんだぜ!?
こんな願ってもないチャンス、興奮しないワケがない。
「…じゃ、いきます、」
震える手を堪えて、そっと背中の真ん中辺りに手を這わす。
シャツの上からでも分かる、大野さんの細くしなやかな体。
初めて触れる感触と温かさに、一気に体中に熱が回り出す。
さわさわと遠慮がちに手を動かしていると、もぞもぞと大野さんが身動いで。
「…なぁ、もちょっと強くしてくんね?」
顔を起こして見上げられ、どきっと心臓が跳ねた。
「っ、あ…はい、すみませ…」
「つーか上に乗って?」
「えっ!?」
「乗って、ほら」
顎と横目でそう促され、慌てて再確認する。
「いやでも!俺重いっす、」
「いいから早くして」
「…っ、はい、」
半ば被せるように告げられた有無を言わさぬその言葉に圧され、心臓がMAXに高鳴る中そろそろと膝立ちになる。
「し、失礼します…」
言いながら慎重に小さいお尻の上に跨れば、そこから見える景色に一気に体中の血がざわめいた。
ヤバいぞこれは…
大野さんが俺の下で寝そべって…
目線の先には顔を横に向けた大野さんの艶やかな黒髪、白いシャツを纏った細い上半身。
そして俺の跨る下には大野さんの…
思わず目下に集中してしまい、あろうことかそこにある俺の自身と大野さんの小さめなお尻とのコラボレーションに意識を持ってかれてしまって。
