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じっと動かない相葉さんの袖をもう一度きゅっと握り締めて。


「俺は…
ずっと、相葉さんが…憧れで…
相葉さんみたいに…なりたくて…」


俯いたまま驚く程のか細い声でそう切り出せば、相葉さんが少し居住まいを正したのが分かった。


「だから…少しでも相葉さんに近付きたくて…
美容室にも、通って…」

「…うん」

「いつ会ってもカッコいい相葉さんみたいに…
なりたいって、俺…」

「……」

「相葉さんはっ…いつも、すごくカッコよくて…
今日だって俺、ずっと…」


自分で言いながら、段々訳が分からなくなってきて。



俺は一体何を言おうとしてる？


相葉さんに何を伝えようとしてるの…？



「でも…だ、だからっ、」

「にの」


何を伝えたらいいのかパニックになる寸前で、ふいに相葉さんから遮られた。


「…あのね、俺の勝手な思い上がりかもしんないんだけどさ」

「……はい」

「にのは全然そんな気なかったとしてもね、」

「……」

「そんなふうに言われるとさ…
俺のこと好きなのかなって勘違いしちゃうよ」


相葉さんの口からまた＂好き＂というフレーズが出て、思わず心臓が跳ねる。


そっと目を上げると、困ったように眉を下げて微笑む相葉さんの顔。


その優しい目元に、きゅっと胸が締め付けられて。



好き…


相葉さんのこと、好き…？



「じゃあ…試してみる？」


何も言えずにまた考えを巡らせていると、掴んでいた腕が急に離されてぐいっと引き寄せられた。



っ…！？



相葉さんの胸に倒れ込むように抱き締められ、突然のことに頭はパニック状態。


本当に驚いた時は声が出ないって言うけど、まさに今その状況で。



なにっ…
あいばさ…



「…どきどきしない？」


頭の上でくぐもった低い声が響いて、思わず体がぴくっと跳ねる。


「俺はね、好きな人とこうゆうことするとさ…
すげーどきどきするんだけど」


『にのは違う？』と問い掛ける声が耳に届き、密着してる相葉さんの感触や匂いを改めて感じて。



どきどき…


してる、してます…


もう…やばいくらいっ…



「…まだ気付かない？」


そうして両肩をそっと抱かれて体を離されると、左手が移動して俺の頬を優しく撫でた。