例えばこんな日常
第18章 超短篇詰め合わせギフト
《大宮(リアル)》
◆お正月の過ごし方◆
年末の気忙しさから解放され、元日が過ぎた今日、ようやく身も心も休めることができる。
相変わらずの俺たちは、一緒にいるのにお互いを干渉しないスタンスで。
俺はゲーム。
大野さんは、最近ハマってるスマホのゲーム。
「…あっ、くっそ…マジでつえぇコイツ」
こたつでぬくぬくしながら、ぎこちない指使いで画面をクルクルなぞってる。
俺はいつものあぐらスタイルで、こたつの傍らその嘆きを聞いていた。
「…あぁっ!もうちょいだったのに、」
「…ねぇおおちゃん、それ独り言?」
「え、なにおおちゃんて」
「んふ…おーチャンス来なかったの?」
「来ねぇよそんなん…」
項垂れるように天板に突っ伏すと、やる気なく適当に指をクルクルしてる。
しばらくして、やけに視線を感じてチラ見してみると。
口をムッと結んで、ジッとこちらを見ているおじさんと目が合った。
「…なによ」
「コイツつえぇ」
「だからなに?」
「倒したい、コイツ」
「…あのさぁ、あなた今年の抱負は?」
「ん?」
「前言ってたヤツ」
「なんだっけ…あ、
『ちゃんと言う』?」
「はい、どうぞ」
セーブボタンを押して、体ごと大野さんに向き直る。
「…倒してください」
「くは、もぅ仕方ないなあ」
もぞもぞとこたつに入り、大野さんからスマホを受け取って。
「あと…」
スマホに視線を落としていると、肩を寄せて画面を覗き込みながらそっと呟く声が。
「…好き、にの」
驚いて顔を上げれば、照れながら柔らかく笑う俺の大好きな顔がそこにあった。
***
確か2016年の大野さんの抱負が『ちゃんと言う』だったと思って書いたものですな、多分。←
例のパズルゲームのCMも好きだったなぁ^o^
有岡くんいい味出してましたよね(笑)