例えばこんな日常
第18章 超短篇詰め合わせギフト
《バンビズ(ノンリアル)》
◆医者櫻井×患者松本◆
「…もうだいぶ良くなってるね」
櫻井先生が、俺の左腕を見つめて微笑んだ。
「もうあんまりやんちゃすんなよ?松本君」
ずれたメガネを直しながら呆れたように笑って、すぐにカルテに向かうその横顔を睨みつけ。
「…わかってるよ」
学ランの袖を引っ張ってパンッとはたき、分かりやすく不貞腐れる。
また学校で喧嘩をして、ケガをした。
そんな俺の傷を毎回診てくれるのが、この櫻井先生だ。
「前のおでこの傷もだいぶ良さそうだね」
言いながら、メガネの奥のまん丸い瞳が窺うように煌めく。
俺が喧嘩をしてケガする理由。
それは…
「よし、じゃあ今日で診察は終わり。最後の処方箋、」
「痛いよ、」
「…ん?」
「…まだ痛いっつってんの」
伏せていた目を上げてギロッと睨むと、先生がきょとんとした顔をしてふふっと笑った。
「じゃあ…痛いの痛いの飛んでけー」
俺の左腕を取り、優しく摩りながら楽しそうにそう言う。
「…っ、ガキ扱いすんじゃねーよ!」
赤くなる顔が恥ずかしくて、つい声が大きくなってしまい。
そんな俺に、先生は心底楽しそうに続けた。
「ん〜そうだなぁ…じゃあ、先生の特別な処方箋あげようか?」
クッと口角を上げて笑ったあと、回転椅子に座ったまま距離を縮めてくる先生。
目の前まで来てゆっくりメガネを取ったと思ったら、急にチュッと口づけられて。
「…どう?治った?」
間近にある櫻井先生の瞳が、おどけた様にそう問い掛けてくる。
バッカやろ…
心臓が痛ぇよ…!
***
やんちゃな男子高校生松本くんの小さな恋♡
櫻井先生の処方箋は保険適応外です←だろうね
やんきーなクセにウブとかいいですよね…
櫻井先生とかあんななりなのに実は魔性とかいいですよね…( *´艸`)笑