例えばこんな日常
第18章 超短篇詰め合わせギフト
《バンビズ(ノンリアル)》
◆研修医松本×医者櫻井◆
診療を終え、そこだけ浮かび上がるように灯りのついたスタッフルームへフラフラと足を向ける。
連日の激務で、ここ最近ほとんど眠れていない。
白衣を脱いでメガネを取り、なだれ込むようにデスクに突っ伏した。
「…櫻井先生?」
やっと少し休憩できる、と思ったのも束の間。
背後から名前を呼ばれるも、体を起こす気力は1ミリも残っていない。
また緊急搬送か…
今日はもう勘弁してくれ…
「あの…研修医の、松本潤です」
研修医…?
あぁ、明日から救命に来る研修医か…
…ん?
松本、潤…?
ガバッと体を起こし振り向けば、ボヤけた視界に映るその姿。
メガネを手探って慌ててかけると、ニヤッと笑うあの顔が。
「えっ、松本君っ…!?」
「よっ、先生久しぶり」
「研修医って…君がっ?」
あの、ヤンチャだった松本君が…?
信じられない…
今目の前に居る黒髪短髪のこの青年が、あの茶髪ピアスだった松本君と同一人物だってのか?
「うん、先生こそ救命になったんだ?」
ボサボサ頭とクタクタのスクラブ姿の俺を、どことなく心配そうにジィっと見つめてくる。
「だいぶ疲れてるね。やっぱ大変?救命って」
「…あぁ、まぁな…」
松本君の言葉に、思わず本音をポロリ出してしまって。
あ、まずい。
これから医者になろうってヤツの前でマイナス発言だなんて。
咄嗟に口元に手をやって咳払いをする俺に、松本君の小さな声が降ってくる。
「…ふふ。あ、そうだ…
特別な処方箋、いる?」
『先生、疲れてるみたいだし』と悪戯っぽく笑って屈んだかと思えば、ふいに俺のメガネを取りチュっと口づけてきた。
「…あの時のお返し。これからご指導よろしくお願いします、櫻井先生」
そう不敵な笑みを浮かべる彼を目の前にして、これからのことを思うと眩暈がしそうになった。
***
やんきー松本くんの逆襲の巻ー^o^笑
憧れの櫻井先生みたいになりたくて、お勉強を頑張って医者になりました!
これからの研修医ライフが楽しみだなー( *´艸`)♡←