例えばこんな日常
第18章 超短篇詰め合わせギフト
《大宮(リアル)》
◆ハロウィンの正しい楽しみ方◆
仕事終わり、スマホを見るとにのから一通のメッセージが。
『お疲れさま。
鍵開けてるから着いたら勝手に入って』
勝手に入って、って珍しいな。
あいつは用心深いから、俺が行くって分かっててもいつもは絶対鍵なんて開けてないのに。
なんだろ。
なんか手が離せねぇのかな…
まさかゲームか?
俺を出迎えるよりゲームが大事ってことか?
なんてモヤモヤした気持ちを抱えつつ、にのの家へと向かった。
ドアレバーをゆっくり引くと、やっぱり開いてて。
「にの?入るぞー…」
そろりと中に入るとそこには、廊下に転がったにのが。
その脇には、真っ赤な血が広がっていて。
えっ…?
「…っ、にのっ!」
慌てて靴を脱ぎ捨て、うつ伏せるにのに近づいて抱き起こす。
「にのっ!おい、にのっ…!」
なに?なんでこんなっ…
ガクガクと揺さぶりながら、必死に名前を呼ぶ。
けれどぐったりするにのの顔は蒼白く、唇も真っ白だった。
「にの…なんで…」
突然のこの状況に訳が分からなくて、どうすることもできなくて。
言葉に詰まってギュッと抱き締めると下から小さな呻き声が。
「…ぐるじぃ」
「…え?」
「っ、はぁっ…苦しいってば」
「おわっ!」
…い、生き返ったっ!?
「ぶっ…おかえり、大野さん」
きょとんとする俺に吹き出して、にのが体を起こした。
「え、ちょ…なにこれ、」
「え?ハッピーハロウィン」
そう言うと、顔面蒼白で口の端から血を出しているにのがニコッと可愛く笑う。
「うっわ、血糊ベッタベタ…大野さん、お風呂行こ」
言いながら何でもなかったかのように風呂場へと歩き出すにのに、されるがまま引きずられ。
待って…ハロウィンてこんなんなの?
…俺の涙返せ、バカヤロー!
***
なんか一時期流行りましたよね、帰ったら死んだフリしてるやつ。
それをハロウィンに仕掛けるというホラーな嫁・にのでした^o^笑
けど玄関先で倒れてたらビビりますよね絶対!
これ相手が大野さんで良かったよ。
潤くんとかだったらブチ切れられてるよ。←