
例えばこんな日常
第18章 超短篇詰め合わせギフト
《にのあい(ノンリアル)》
◆歯科医相葉×患者にの◆
順番が来て、ドキドキしながら診察台に上がった。
忙しさにかまけて長らく放置していた虫歯が、昨日ついに痛みだしたんだ。
昔から痛いことはキライ。
特にこの、歯医者というのは大キライで。
「二宮さん、こんにちは。
今日担当します、相葉です」
診察台に寝そべる俺の側へ来て、言葉をかけてきたその人を見遣る。
目が合うと、ニコッと微笑まれた。
ここには何度か来たことはあるけど、多分初めての人だ。
マスクで全体の顔は分からないけど、目元の笑い皺が人の良さを滲み出している。
「じゃあお口診ますね〜」
相葉先生が頭上に移動してきて、スタンドライトが点される。
途端に眩しい光に照らされて、一気に心臓が速まりだした。
この感じ…いやだ。
…怖いっ!
思わず握りしめた拳が震える。
「あ…大丈夫ですか?怖いかな?」
「いや…あの、苦手で…」
「そっか…じゃ早く終わらそうね」
そう言うとキィーンという機械音がして、口の中に浸みるような感覚が走る。
ギュッと目を瞑っていたのをそろり開けると、目の前に逆さまの相葉先生の顔。
「大丈夫。僕を信じて」
言いながら刻まれた目尻の皺と。
まさに歯の浮くような言葉を掛けられて、普段なら胡散臭いって思うのになぜか心臓がキュッとした。
「はい、終わりましたよ〜」
マスクを外して、満面の笑みを見せる先生。
その笑顔に、一瞬で撃ち抜かれた。
「ね?痛くなかったでしょ?」
「…いえ」
「え?」
「…心臓が、痛くなっちゃいました…」
***
あれ?また心臓が痛くなってる!(171Pバンビズ参照)
歯医者さんな相葉くんと、痛いの大嫌いなにのちゃんのお話^o^
目元だけでもイケメンだったのに、マスクを外したら超絶カッコ良かったもんだから一撃でしたなー( *´艸`)←
この後ね、きっと虫歯治療が終わっても予防歯科で通い続けるはず。
それで健康な歯を維持するというWINWINな展開^o^笑
