例えばこんな日常
第18章 超短篇詰め合わせギフト
《櫻葉(ノンリアル)》
◆『櫻葉パパとチビ末ズ』お見舞い帰り篇◆
仕事帰り、雅紀と一緒に子ども達の病院に行ってきた。
心地良い揺れと、電車特有の暖かい空気が漂う車内。
この時間は人も疎らで、向かいの大きな車窓には暗闇に反射した俺たちが並んで映る。
「ちゃんと寝たかなぁ、かずたち」
「またパズルでもしてんじゃねぇの?」
チラッと目線をやって含み笑いながら返すと。
隣の雅紀は『そうかもね』と笑みを溢して、少し眠そうに膝元のブリーフケースを抱えた。
「少し寝とくか?起こしてやるから」
「ん…ごめ、ありがと」
雅紀の顔を覗き込みながら告げれば、素直にゆっくりと瞼を閉じて。
最近は残業続きで帰りも遅かったからな…
相当疲れてたんだな、雅紀…
こうして揃って見舞いに行くのも思えば久し振りだった。
規則正しい揺れに合わせて、スラックス越しに触れ合う雅紀の脚。
ふいにガタンと大きい揺れが来て、項垂れた頭がこてんと左肩に乗った。
「…っ!」
焦って周りを見ると、幸いな事に寝てるかスマホいじってるかで。
…あっぶねぇ。
こんなスーツの三十路男たちが寄り添ってるなんて、絶対怪しいよな。
そっと雅紀に視線を移すと、相変わらずの綺麗な寝顔。
爽やかな整髪料の香りが鼻と頬を擽る。
あ、この角度からは初めてかも。
睫毛長ぇなー…
あ、口開いた。
唇、柔らかいんだよなぁ…
あぁやば…どうしよ…
なんて見惚れてたから、案の定乗り過ごしてしまい。
「もー何で起こしてくんなかったの?
もしかして翔ちゃんも寝てた?」
って笑いながらそう聞かれたけど…
"雅紀の寝顔に見惚れてました"
なんて…
そんなの、恥ずかしくて言えるわけねぇだろっ!
***
こちらはお見舞い帰りの電車内の一コマ。
もう家族になってはいるものの、まだ子ども達とは一緒に住んでない時期のお話ですね^o^
いやなんか…やっぱスーツっていいですよね←急に
押せ押せな翔ちゃん、さすがに電車内で欲情しちゃだめですよー( *´艸`)♡