例えばこんな日常
第19章 ピンクのカウボーイ/AN
ベッドに先に上がると、にのも一緒に上がってこようとするから。
「ちょっと待って!ちょ、そこに立ってみて」
片膝をベッドに上げようとしていたにのを制してその脇に立たせる。
…くふふ、思った以上にイイ。
全体的にだるーんとしたそのパーカーは袖も裾も何もかも緩くて。
それにわざとか知らないけどこいつ常に萌え袖なんだよな。
きゅっと袖の端を掴んでる丸っこい指がなんとも可愛らしくて。
それにこの真っ白くてほっそい脚も。
見てるだけで唆られる…
「おい変態」
「あ」
「あ、じゃねぇわ。なに?なにがしたいわけ?」
意味もなくベッド脇に立たされ、あからさまに顔を顰めて口を尖らせるにの。
立ってる姿勢で分かる丸まった背中が、呆れた雰囲気を更に醸し出しているようで。
「んふふっ、ごめん。はい、おいで」
言いながら両手を広げれば『なんなのよ…』なんて言いながらも嬉しそうにベッドに上がってきた。
ぎゅっと抱き締めると衣服の感触がまどろっこしくて。
だけど今日はこのままで。
俺は素っ裸なのに、にのだけパーカーを着てるこの状態。
にのもいつもと違う感覚に、なんとなくしっくりきていないみたい。
それでもお構いなく座ったままのにのをぎゅっと抱き締めれば、衣服の上からでも分かる細い腰回りに体が熱くなる。
「んっ…」
ちゅ、と唇や頬にキスをしながら段々と唇を移動させて。
広い襟ぐりから容易く見つけられる鎖骨にも舌を這わせる。
「ぁっ…」
小さく声を上げたにのが、俺の首に回す腕にぎゅっと力を込めた。