例えばこんな日常
第24章 動機不純100%/AN
そんなこんなで二本撮りだった今日の収録を終え帰宅。
とりあえず熱い風呂で心も体もさっぱりして、日課の晩酌タイムへと移行する。
いつものラインナップをローテーブルに並べると、ソファに浅く座ってテレビのリモコンを手に取った。
こないだの録画…っと。
何気なく録画一覧を眺めていた時、目に留った番組名。
そこにカーソルを合わせピッとリモコンを押して。
…はっ!
あれ?今、俺完全に無意識だった…!
テレビから流れ出したのはにのがピンで持ってるレギュラー番組。
たった今、ごく自然な流れでこの指が動いたことに若干の焦りを感じる。
メンバーが出ている番組は基本的に観てるんだ。
…いや観てるんだけどさ。
昨日のあの夢がチラついて、正直今日の収録中はにのが気になって気になって仕方がなかった。
明らかに何らかのフィルターを通してにのを見ている俺がいた。
それはにのに対して失礼極まりないことだって分かってる。
いくら長年一緒に居て近しい関係だからって、勝手に自分の都合の良い目線でメンバーを見るなんておかしい。
おかしいよ俺。
何考えてんだよバカじゃねぇの。
バカじゃねぇの…
チラリ画面に視線を遣れば、丁度のタイミングでにっこり笑ってV振りするにののアップが。
っ…!
大きな画面いっぱいに映し出されても全然耐えられるその顔。
いつも当たり前のように眺めてたけど、改めてにのってめちゃめちゃ肌キレイだよね。
昔っから変わんないっていうか…何もかも。
いや若い頃に比べたらちょっとだけぷにぷに感は増したか。
ぷにぷに感…
ふいに昨日の夢がフラッシュバックしだす。
顔はにのでも女の人の体だからそれはもうぷにぷにで柔らかくて。
感触はそのままに至近距離で見上げてくるうるうるの瞳とか。
眉間に皺を寄せながら堪える濡れた唇とか。
俺を呼ぶちょっと高めの声とか…
「…っ、いかん!やめやめ!」
握り締めたリモコンを荒々しく操作すると途端に真っ黒になった画面。
そのままソファにボスっと体を預け、クッションをぎゅっと抱き込む。
…もう、何考えてんの俺。
ていうか…
ごめんね、にの。