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例えばこんな日常

第24章 動機不純100%/AN






ポツリ呟かれた声にハッと目を上げると、頬杖をついてこちらを見つめる少し赤く染まった目元。


笑いを堪えるように閉じた唇も緩く弧を描いて。


「……ん?」

「くはっ、めたんこ酔ってんじゃん」


間を置いて返事をしたからか、そんな俺を見てぎゅっと目を閉じて笑うその仕草に下半身がズクリと疼いた。


っ、ヤバっ…!


いつもよりぽわぽわした表情のにのが笑うとこんなに可愛いのか、なんて。


本人を目の前にしていよいよ夢か現実かの境目が分かんなくなってきたかも。


「けっこう飲んでんねぇ。ペース早くない?」


緩く笑いながら覗き込んでくる上目遣いとか。


おつまみに手を伸ばして口に入れる動きとか。


首の後ろをポリポリ掻く仕草にまで。


そんなどうでもいいこと一つ一つがいちいち目に留って仕方ない。


もうほんとダメ…


今日の俺の脳ミソはまるで使いモンになんない。


違うところは無意味に臨戦態勢万全なんだけど。


こんなことにのに知られたらどうなるか。


にのには悪いけどここはとりあえず…



「ね、にの…」

「んー?」

「ごめん、眠くなってきちゃった…」


ここは早々にお開きとさせてもらおう。


これ以上一緒に居たら俺の理性が爆発してしまいそうだから。


…なのに。


「ふふっ、でしょうねぇ。いいよ、もう寝よっか」

「うん……っ、え?」

「俺ベッドもらっていいの?」

「は?え?」


テーブルの空き缶を纏めながら投げかけてくるにのに、ただただ間抜けな声で疑問を口にする。


「え…帰んないの?」

「帰んないよ。明日もリハあるし、一緒でしょ行くとこ」

「……は、」


まったりと言い終えて立ち上がると、空き缶をキッチンへ運んでいく後ろ姿。


その覚束ない後ろ姿を眺めて、一気に酔いが醒めてしまったような感覚になった。



…マジかよ。


マジかよにのっ…!

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