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「ごめんっ！そうなんだ俺っ…
俺さ…好き、なんだ…」


平田もまた声量をコントロール出来なかった。
それほどまでに誠治に対する想いは平田の中で大きくなっていたのだ。


「ここに来てさ…まだ間もないけど。
なんかもう…言わずにいられなくて…」

「……そっ、か…」

「ごめん、ほんとは言うつもりなかったんだけど…」

「あ、いや…俺も最初からそうかなっては思ってたし…」

「…え？」


予想外の誠治のそのセリフに平田は弾かれたように顔を上げた。
ぽりぽりと頭を掻きながら目線を泳がせるその仕草に、平田の胸には淡い期待のような感情が生まれていた。


しかしその期待も、誠治が次に発したセリフを受けてたちまち失望に変わることになる。


「でも…やめといたほうがいいよ。
もう相手いるし…」

「えっ…」

「悪いことは言わないからさ、うん…」


眉を下げて窺ってくる誠治の表情は、慰めにも似た憐れみを帯びていて。
いとも簡単に玉砕してしまった平田は、しばらくその場から動けずにいた。


少しの間の後、気まずくなった様子の誠治が＂じゃあお疲れ＂と小さく残して去ろうとしたが。


「っ、千葉さんだよね？その相手って…」


俯いたまま発した平田の声に誠治は肩を揺らして振り返った。
そしてたちまちその顔に疑問符が張り付く。


「……え？」

「やっぱりそうだったんだ…
付き合ってんだ、二人…」

「ん？え、は？」

「遠距離って大変だよね…誠治すごいな…」

「はっ？え、俺？いや、ちょっと待って！」


途端に慌てた様子の誠治が平田に駆け寄り必死に弁明する。


「なんで千葉になるんだよ！違うって哲平だよ！」

「えっ！哲平って…男？」

「男に決まってんだろ！何言ってんのお前」


バカなこと言うなよ、とでも言いたげな顔で平田を覗き込む誠治。
その事実を聞いた平田は更に誠治に詰め寄った。


「っ、じゃあ！男でいいなら何で俺じゃダメなの？」

「だからぁ、もう哲平が居るんだから諦めろって」

「そんなの簡単に諦めらんないよ！俺だって男だし！」

「あのね、哲平はお前が来る前からずーっとあかりちゃん一筋なの。それでやっと結ばれたんだから」

「………え？あかり、ちゃん…？」