例えばこんな日常
第9章 いてもたってもいられない/AN
相葉さんに触ってもらえると思ったのに、その大きな手は俺の手の上に重ねられた。
だけど、そのジンジンする感覚はウソじゃない。
全体重を預けて凭れかかった相葉さんに、後ろから包むように抱き締められて。
もういっそのこと、俺の体ごと相葉さんの中に溶けてしまいたいとさえ思えてくる。
「あぁ…にの見て、また出てきてる、」
「んんっ、はぁっ…も、」
「…もうだめ?」
「ぁっ、もう…だめ、あいばさ、」
熱い体温とジンジンする感覚、耳元に響く心地良い声に後押しされて、込み上げる火照りをもう抑えられそうにない。
もうっ、相葉さん…
相葉さんっ…
「っ、はぁっ…ねぇ、して…?」
頭をぐるっと向けて相葉さんを見上げると、ぐっと一瞬息を呑んだかと思ったらすぐに噛みつく様なキスが降りてきた。
夢中で絡め合う口内の艶めかしい感触を加え、快感の大波に全て身を任せる準備をして。
同時に左手を追い立てると、昇りつめる感覚が襲ってくる。
っ、あ…だめっ…
「んんっ!…はぁっ、あいばさ…イってい?」
「いいよ、イっていいよ、にのっ」
「ぁん、あぁっ…イくっ、あっ、相葉さんっ…!」
その瞬間、頭の中には相葉さんしかいなくて。
手に滴る自分の白濁の熱い感触は嫌だけど、達したこの上ない快感に体の力が抜けていく。
はぁっと息を吐くと、頭上から静かに声が降ってきた。
「…気持ち良かったね、にの」
頭を優しく撫でて、愛おしそうな瞳で俺を見つめる相葉さん。
「…じゃあ、一緒に気持ち良くなりますか」
にっこりしてそう言うと、俺の左手とTシャツに飛沫した白濁を傍に置いていたティッシュで拭き取った。
そしてそのままソファに組み敷かれて。
…え?
「ここで…?」
「うん、だめ?」
小首を傾げる仕草とは裏腹に、完全に雄の瞳で見下ろされてそんなこと言われても。
「…もうさ、俺限界なんだもん」
返事を待たずに降りてきた顔に、俺に拒否権なんてないことを知らされる。
「んっ…にの、」
「ぁ…」
ちゅっとキスをしながらTシャツの裾に手を入れられて、待ちわびたその感触に思わず声を漏らした。