例えばこんな日常
第9章 いてもたってもいられない/AN
…もう我慢できないよ。
にののあんな姿…
縋るように俺を見るあの瞳。
必死に俺の名前を呼ぶ声。
気持ち良くなる場所にはひとつも触れてないのに、想像の俺で絶頂に達するなんて。
…最高だよ、にの。
今度は一緒に、気持ち良くなろうね。
首筋に顔を埋めながらTシャツの中をまさぐって、滑らかな肌が粟立っているのを楽しむ。
転がすように尖りを摘まむと、ぴくっと反応して小さく声を上げて。
「…んふ、好きだもんねここ、」
「んぁっ、はぁ…」
絶えることなく漏れ続ける嬌声に、にのも悦んでいるのが見てとれる。
Tシャツを捲り上げて、ぷくっと主張するソレに舌を這わせると。
「ぁんっ、や…」
「…ここイイんだよね?
我慢できたからいっぱいしてあげるね、」
ぺろりと舐めて、反対側は摘まんだり撫でたりと強弱をつける。
すると一際ぐっと首を反らせて、目を瞑り口元に手の甲を押し付けた。
あ、そんなことしたら声聞けないじゃん。
「ねぇ、気持ち良いでしょ?」
「んんっ、はっ、」
「声出して?気持ち良い声出していいよ?」
そっと手を外せば抵抗もなく顔の横に脱力し、熱を帯びた虚ろな瞳が向けられた。
「…はぁっ、あいばさ…」
「うん…?」
「ね…はやく、」
「え?」
「…早く、してよ…」
頬を染めて艶めいた瞳で見上げるにの。
…ちょっと、どうしたの今日は。
そんなに俺が欲しいの?
もう…
超かわいいんだけど…!
「…ん、わかった」
緩む口元を手で隠しつつ、お望み通り準備に取り掛かる。
こんなこともあろうかと、サイドボードの奥に潤滑剤を忍ばせてあるんだ。
にのはあんまりここではしたがらないけど、こんなに早く活用できる日が来るとは。
にのの上から手を伸ばして円柱のボトルを取り、テーブルにコトッと置く。
それを目で追ってからじっと俺を見上げるにのの瞳は、まさに『なんでこんなもんここにあんの』って言ってるようで。
それが言葉になる前にキスで塞いで、同時にスウェットをするりと脱がせにかかった。