例えばこんな日常
第9章 いてもたってもいられない/AN
一日中焦らされていたせいか、この上ない快感に逆らえず素直にそう口にした。
すると、急に腰を掴まれ相葉さんの元へ引き寄せられて。
勢い良く最奥を突かれる感覚にビリッと電気が駆け抜け、ぎゅっと目を瞑って堪らず声を上げると。
「…俺も、すげー気持ち良いよ、にの…」
やけに近くにその低い声が聞こえて目を開ければ、腰を折った相葉さんの雄々しい顔がそこにあって。
後頭部を抱え込まれ、ぴったりとその体と密着する。
「一緒に…気持ち良くなろうね、」
そして慈しむような瞳でそう囁かれると、込み上げてくる高揚感に体の芯からざわめいた。
答える代わりに両腕を首に巻き付け、また深く唇を重ねる。
全部喰い尽くされてしまうんじゃないかってくらい、俺を求めてくる相葉さん。
その何とも言えない満たされた感覚に、もう心も体も溺れてしまいたい。
「はぁっ、にのっ…」
「あっ、あっ…もぅっ、」
「んっ、あぁ…きもち、い…」
繰り返されるキスの合間に漏れる相葉さんの声。
絶えることなく送られてくる律動に快感の波が押し寄せて。
放置されていても勝手に溢れてくる自身の蜜で、Tシャツの裾に湿った感触を覚える。
「あいばさっ…触って、いいっ…?」
互いのお腹の間にそっと左手を忍ばせながら窺うと、顎から汗を滴らせた口角がくっと上がった。
…っ、やばい…きもち、い…
その顔を見届けてから熱い昂りをぎゅっと握れば、一瞬で昇り詰める感覚に襲われて。
「ぁっ、も…だめっ、かも、」
「はぁっ、俺もっ…やば、」
「ぁんっ、あいばさ、だめっ…!」
「いいよっ、俺もっ…!」
追い立てた左手の感触が変わり、同時に勢い良く熱い白濁が放たれて指の間を伝う。
それを追うように、轟くナカに相葉さんの熱い欲がどくんと広がった。
隙間もないくらいに重なり合った体。
もしかしたら俺たち、ひとつになってしまったんじゃないかと錯覚してしまう程に溶け合って。
どちらのものか分からない熱い吐息を感じながら、ぼやける視界に浮かぶ煌めく二つの瞳を見つめる。
あぁもう…
ほんとにもう…
好きで、たまんない…
その瞳が細められて近付いてきたのを捉えて、余韻に浸るようにゆっくりと瞼を閉ざした。