
たのしいまいにち
第3章 初めて
「いただきぃ」
ファーストキスを奪われたわたしは、
随分と時間がかかってしまったことと、
柔らかい相手の唇の感触のことで
頭がいっぱいになっていた。
そしてそのあと、キスの後のエスさんの言葉が
グルグル何回も再生された。
どこを見ているのかわからない目をしていたと思われる私に
彼はまた、覆いかぶさってきた。
ちゅ ちゅ…
少し、キスというものに慣れてきた私は、
もうなにも怖くなかった。
彼のキスを安心して受け止めていると
「16回もできたね。できるようになったね」
数えてたんだ。笑
可笑しさと同時に、一回一回のキスを大切にしてくれている彼の優しさが嬉しかった。
