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にじいろ。

第20章 裏切りは蜜の味。

次の日
俺は斗真と二人で新宿に向かった。
所謂、場所の視察ってやつだ。



和也「ホントやだ、新宿…」

斗真「ナニ?どうした?」

和也「いや、なんでも。」

斗真「顔色良くねーよ?どっかで休む?」

和也「大丈夫だから」


場所だけ確認して
一刻も早くこの新宿から立ち去りたい。


斗真「ニノ」

和也「だから、大丈夫だって」

斗真「ちげーよ。
さっきからヘンな男が俺らのこと、つけてる」

和也「ヘンな男?」




嫌な予感がした。
ここ新宿は…アイツのホームだ。


和也「斗真。走るぞ」

斗真「へっ?」


斗真の腕をグッと掴み
人混みの中を俺は走った


斗真「ちょ、ニノ!」

和也「いいから!走れ!早く!」


振り返ると
黒いスーツの男が二人
俺達のあとを追ってきていた


とにかく
走って
走って
巻くことしか考えられなくて
ただひたすら走って路地裏のごみ捨て場で俺達はへたり込んだ


斗真「…ハァ…ハァ…おい…どーなってんだよ、ニノ…」

和也「斗真…ハァ…悪ぃ……」

斗真「お前何したんだよ…」

和也「なんもしてねーよ…」



キーッと車のブレーキの音のあと
バタン、とドアを閉める音がした


ジャリッ、ジャリッと
革靴が砂利を噛む音が近付いて
俺達の目の前でその音は止んだ





藤島「追いかけっこはここまでだ。
随分探したよ、二宮。」


和也「藤島…」

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