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にじいろ。

第22章 Fragment love 。

あの時のチロルチョコが杏奈の本命だったなんて
思いもよらなかった。



『お前みたいなお節介な女が一番嫌いなんだよ!』


『二度と俺に話しかけんな!』



その言葉を言ったあの日から
杏奈は本当に俺に話しかけてくることは無かった。

チロルチョコのお返しも渡せなかった。








潤「あん時
俺、心にも無いこと言って
お前のこと泣かせて…ホントに悪かった。」


杏奈「なんで今更謝んのよ…」


潤「おみくじ。」

杏奈「おみくじ?」


潤「『誤解は早いうちに解くべし。意地を張って後回しにするは後悔の種となる』って書いてあったからさ」

杏奈「…」



潤「あっ、それから
チロルチョコのお返しもまだだったよな。
なんでも好きなもん頼んでいいからさ。ホラ!」


俺は杏奈にデザートメニューを強引に見せた。



潤「ちゃんとお返しさせてくれよ。」


真剣な顔で杏奈を見ると
ニコッと笑って、


杏奈「じゃあ、コレ。」

潤「え?コレ?
こんな時間にそんなデカイパフェ食うの?太るよ?」

杏奈「うるさいなぁ。
何でも好きな物頼んでいいって言ったのは潤でしょ?
あたしはコレがいいの。」



『潤』
杏奈が俺の名前を呼ぶのを3年ぶりに聞いた。


潤「わかった。わかったよ!

あー、すみません!注文いいですか?
このパフェと、あとコーヒー1つ。」


運ばれてきたパフェを杏奈はペロリと平らげて
『ごちそうさま。ありがとうね、潤。』
そう言って優しく微笑ってくれた。

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