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にじいろ。

第23章 にじいろ花火。

翔「そういえばさ
智くんのスーツ姿見るの、一年ぶりなんだよね」


俺と翔くんが出会ったあの日
空の写真展以来か

あれからもう一年になるんだ。



翔「出会って、一年。
付き合って…もうすぐ半年。

智くんと出会えたのって
運命だと思ってるんだ」


智「運命?」


翔「うん。
偶然入った本屋で
偶然手に取った雑誌に智くんの写真が掲載されてて
写真展のこと知ってさ
開催日が偶然俺の誕生日で…

でもそれって偶然じゃなくて必然で
俺たちは出会うべくして出会ったのかなって」


やっぱり翔くんはロマンチストだ。


智「そうかもしれないね。
だって、俺…
あそこの会場に居たの、たったの2時間だしね?」


翔「えっ?そうなの?」

智「うん。午前中だけでもいいから顔出してくれって言われてね。
オープニングセレモニーのあと、会場の関係者の人に捕まって話しててね
なんとかこの場から離れてぇなぁって思ってたら
スタッフさんから
『大野さんの写真をずっと見てる方がいらっしゃいますよ』
って声掛けられてさ。
翔くんのおかけで
『ちょっと行ってきます!』
ってその場から離れられたの」


翔くんはあははと笑いながら
やっぱり運命だねって言ってくれた。



中3の冬
両親が亡くなってから俺は人と深く関わりを持たなくなった
翔くんはそんな俺に射した
一筋の光だったんだ。

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