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にじいろ。

第23章 にじいろ花火。

智「翔くんが俺に告白してくれた時…
凄ぇ嬉しかった」

翔「智くん…」

智「覚えてる?あん時のこと」

翔「もちろん覚えてるよ」




写真展の三ヶ月後
河原でこれまた偶然翔くんに会って
声を掛けられたんだ




翔『大野さん…?』


智『あ。写真展の時の!』

翔『僕のこと覚えててくれてたんですか?』

智『覚えてる!覚えてるよ!
いやぁ、びっくりした!高校生だったんだね?』

翔『はい。またお会いできるなんて光栄です』

智『いやいや、こちらこそ光栄です!』

翔『いえいえ』


お互いに頭を下げあって
顔を上げると目が合って
同時にふふっ。と笑って。


翔『何撮られてたんですか?』

智『ほら、このちっさい魚』


足場にはたんぽぽが咲き
水面には桜の花びらが揺れていて
その下で川の流れに逆らって留まる稚魚の姿を
俺は切り取っていた。


翔『うわぁ…
福虹の時も思ったんですけど
大野さんの撮る写真って
まるで絵のようですよね』



『まるで絵のよう』

そう言ってくれた翔くんの言葉が嬉しくて
良かったら他の作品も見てみないかと誘ったのは俺の方だった。


翔くんの学校帰りに時折り待ち合わせしては
新しい作品を見てもらって
そうこうしてるうちに
翔くんが俺に言ったんだ。



翔『俺、智くんの作品が凄く好きだよ。
でも…写真だけじゃなくて
智くん自身にも凄く惹かれてる。


俺…智くんのことが好きです。』

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