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にじいろ。

第25章 赤と青のフォトブック。

翔「その手紙には
なんて書いてあったの…?」


母「彼のいつもの口癖と
短いメッセージですって。」




“世の中は理不尽なことばかりだ
正しいことがしたければ、偉くなれ。


櫻井

君と出逢えて良かった
君は永遠に僕の心の友だ。

この世の中を変えてゆくべく
共に切磋琢磨したかった。
先輩らしいことをもっとしてやりたかった。

君の大いなる活躍を
遠く空から見守っているよ。
先に逝く僕を
どうか赦してくれ。


晶”



晶さんに何があって自殺未遂に至ったのかは
父さんはおろか、家族さえも知ることができなかったそうだ。

恋人であった男性は
付き合っていたことは認めたものの
自殺未遂に関しては一切の心当たりが無いと言った。



そして半年後
晶さんは静かに息を引き取った。





母「晶さんは大学で写真部に入っていたそうでね
お父さん、形見にカメラを譲り受けたんですって」



カメラ…

あっ…。



俺が小さい頃
父さんによく写真を撮られていたのを思い出した。
あれは
晶さんの形見だったのか。



母「母さんが晶さんの話を聞いたのは
翔がまだお腹にいる時でね。
男の子だってわかったら
お父さん、言ったのよ。

名前は“ショウ”にしたい。って」


同じ、読み…
そっか
俺の名前は晶さんから取ったんだ。

そうだったんだ…。

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