にじいろ。
第26章 輝かしい未来へ。
和也「痛っ…!」
額に走る衝撃に驚いて
目がバチッと開いた。
俺、デコピンされた…?
男がククッと笑いを堪えてる。
和也「なにす…!」
男「和也」
和也「…なんだよ」
男「お前どうしてこの街に戻ってきた?」
和也「どうして、って…
そんなのアンタに関係ないだろ…」
男「ま、そうなんだけどさ。」
俺の髪をクシャ、と撫でて
男はベッドを降りた。
和也「…抱かないの? 俺のこと、」
男「抱く気にもなんねぇな」
和也「なっ…!
じゃあどうして俺を買ったんだよ!」
男「理由?
そうだな…
俺はお前の身体じゃなくて時間を買った。
服が乾くまで、だ。
納得したか?」
和也「服…? あ。」
自分のジャケットはソファーに置いてあるのに
俺の服は全てハンガーにかけてあって。
和也「なんでだよ…
5万も払って俺の時間買うとか意味わかんねーよ!」
“お前のやってることは間違ってる”
って言われてる気がした。
家を出て
まーくんも
学校も
思い出も捨てて
身体を売って一人で生きていくことを
間違ってると否定された気がした。
男「今のお前と昔のお前とでは目が違うんだよ」
和也「目…?」