テキストサイズ

にじいろ。

第27章 背徳の瞳。

潤「まー。お前、また痩せた…?」


雅紀「…さぁ?」

潤「このままじゃぶっ倒れるぞ?
まともに食ってるとこ見てねぇーしさ
大丈夫なのかよ、ホント…」


雅紀「大丈夫だよ、俺は…」



次の日から
俺は何食わぬ顔で普通に登校し
帰りには母ちゃんの病院に寄って
腹が減れば菓子パンをかじり
減らなければ何も口にせずに
ただ、ただ
色の無い現実を
音の無い世界を
一人で生きていた。


かずは学校へは行かなくなり
いつ家に帰ってきてるのか
いつ、どこで誰と何をしてるのか
たまたま顔を合わせても
聞くこともなければ
話すこともなかった。


生きているのか
死んでいるのかもわからないような日々が
もうどのくらい続いたんだろう。

三学期も終わる頃
かずの担任の井ノ原先生から
かずが退学届を提出したと聞いた。



雅紀「そう…ですか…」

井ノ原「そうですか、って
雅紀、和也から聞いてないのか?」

雅紀「聞いてないも何も
会ってませんから…
家には時々帰ってるみたいだけど
それがいつなのかとかまではわからないし…」

井ノ原「雅紀…」



かずの退学届は受理された。

潤や斗真が時折連絡をしても
10回に1回、返事が来ればいい方で
翔ちゃんと大ちゃんも心配してくれていて
それでも俺の前では極力
かずの話はしないでいてくれてるようだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ