テキストサイズ

にじいろ。

第27章 背徳の瞳。

退学してから
かずは益々家に寄り付かなくなった。


随分と少なくなったかずの私物を見ても
一人分のスペースがあるベッドにも
何も感じなかった。

まるで感情という名の引き出しに
鍵をかけたみたいに、俺は

泣くことも
笑うことも
怒ることも
しなくなった。









雅紀「ボランティア、ですか…?」

小園「あぁ。雅紀くんさえ良ければ、なんだが…
スポーツ得意だろう?
春休みにね、フットサル大会をするんだ。
その時にイベントボランティアとして参加してもらえると嬉しいんだが…」


小園さんなりの意図があってのことなんだろう。
俺の覇気のない姿を見て
見るに見兼ねた、といったとこか。

雅紀「…わかりました。」





小園さんが経営しているのは
『虹の家』という児童養護施設だ。

母ちゃんが長らく勤めたその場所で
ずっと関わってきた子供たちと接するなんてなんだか不思議だったけど
小園さんだけじゃなく仲間の従業員さんたちも
『是非に』と言ってくれたんだ。

そしてフットサル大会の数日前
普段の子どもたちの様子を見て欲しいと言われて
施設を訪れた俺は



この日
『ヒカル』と出会った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ