
にじいろ。
第27章 背徳の瞳。
男性客「ナルちゃん、今日も良かったよ」
和也「その『ナルちゃん』ての、やめてよ」
女性客「いいじゃない。
こんなに可愛らしい顔してんだから。ねぇ?」
和也「年相応だよ?」
男性客「言ってもハタチ、だろ?
まだまだ青二才だな」
和也「お褒めの言葉、どうも。
じゃあまたね。ゆっくりしてってよ?」
俺はステージを後にする。
従業員「お疲れさん」
和也「うぃ。
次の出番まで仮眠するからヨロシク」
従業員「了解」
控室の隣りの四畳半の寝床。
アコギと、服と、煎餅布団に折りたたみ式のミニテーブル
それ以外は何もない。
小さな長方形の窓の向こうには
下品なピンク色のネオン管の光が煌々としてる。
此処では俺は『ナル』と呼ばれてる。
カズナリの『ナリ』から来てるらしい。
『前にカズっていうミュージシャンがいたもんでな』
正直、名前なんて何でも良かった。
いや、逆に今まで呼ばれたことのない呼び方に
少しホッとした。
別人になれた気がしていたんだ。
本当の年齢はオーナーしか知らない。
『ハタチ、ってことにしておこう』
そう提案したのは、オーナーだった。
少しでも年より上に見られるようにと
髪を白に近い金髪に染めたのも
オーナーの勧めがあったからだった。
和也「その『ナルちゃん』ての、やめてよ」
女性客「いいじゃない。
こんなに可愛らしい顔してんだから。ねぇ?」
和也「年相応だよ?」
男性客「言ってもハタチ、だろ?
まだまだ青二才だな」
和也「お褒めの言葉、どうも。
じゃあまたね。ゆっくりしてってよ?」
俺はステージを後にする。
従業員「お疲れさん」
和也「うぃ。
次の出番まで仮眠するからヨロシク」
従業員「了解」
控室の隣りの四畳半の寝床。
アコギと、服と、煎餅布団に折りたたみ式のミニテーブル
それ以外は何もない。
小さな長方形の窓の向こうには
下品なピンク色のネオン管の光が煌々としてる。
此処では俺は『ナル』と呼ばれてる。
カズナリの『ナリ』から来てるらしい。
『前にカズっていうミュージシャンがいたもんでな』
正直、名前なんて何でも良かった。
いや、逆に今まで呼ばれたことのない呼び方に
少しホッとした。
別人になれた気がしていたんだ。
本当の年齢はオーナーしか知らない。
『ハタチ、ってことにしておこう』
そう提案したのは、オーナーだった。
少しでも年より上に見られるようにと
髪を白に近い金髪に染めたのも
オーナーの勧めがあったからだった。
