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にじいろ。

第27章 背徳の瞳。

ここでの暮らしは
決して悪いモンでもなかった。
何より
その日暮らしではあっても
歌で食えてることに違いはなかったから
それだけで有り難かった。


俺のことを無駄に詮索してくる奴もいない。
深くは入り込まない
それが暗黙のルールなのかもしれない。
ただ一人を除いては…。



Lily「あーっ。ここに居たぁ。」

和也「…なんだよ。寝かせろや」

Lily「おねーさんにその口の聞き方はないんじゃないのぉ?
ナ ル ち ゃ ん ♪」

和也「誰がおねーさんだよ、オ バ サ ン」

Lily「ひどぉい! 6つしか変わらないじゃない、6つしか!」

和也「『しか』じゃねぇ、6つ『も』だよ。
つーか、何しに来たんだよ」

Lily「んふ♡ 出番までここにいてもいいでしょ?」

和也「勝手にすれば?」

Lily「口は悪くてもホントは優しいんだからぁ〜」


Lilyもまた此処で歌を生業にしてるシンガーで
なぜだか俺に妙に絡んでくるんだ。

真っ紅な口紅と派手な化粧が映える
所謂、美人ってやつだけど
なにせ、俺だけじゃなく人との距離感が近いんだ。
だけど俺は知ってる。


Lily「火、借りるね?」

和也「点けてやるよ」


三秒見つめれば
パッと目を逸らすんだ。

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