テキストサイズ

にじいろ。

第27章 背徳の瞳。

潤「その絵、今あるの?」

雅紀「あるよ。部屋に飾ってある。」


潤が作ってくれた昼ご飯を三人で食べ終えると
ヒカルの描いた絵を見せる為に
部屋に案内した。


かずの制服も
リュックも
勉強道具も
セミダブルベッドに置かれた枕も
そのままになってる部屋を見渡して
斗真がキュッと唇を噛んだ。


雅紀「かずだけが居ないんだ」


かずが残していったものは幾つもあるのに
そこにはかずだけが居なくて。

勉強机の上の写真立てには
裏面に
『Masaki♡Kazunari Be with you…』
と書かれたあの写真が飾ってある。


潤「これか?」

雅紀「うん。」

潤は
鍵の絵をじっと見つめていた。

斗真「探さなくていいんですか、ニノのこと…」

潤「斗真」

斗真「だって…!」

雅紀「いいんだよ、斗真。
かずは自分の人生を自分で決めて生きてるんだ。
俺がどうこう言えることじゃないよ」

斗真「でも…」

雅紀「いいんだ。」


忘れようなんて思わない。
忘れられるわけなんてないんだ。
だから
少しずつ
かずとの日々を思い出に変えていく

幸せだった思い出として
心の中に閉まっておくんだ。


もう鍵はかけずに

いつでも
二人の軌跡を思い返せるように。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ