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にじいろ。

第27章 背徳の瞳。






和也「は…?」


白い肌に黒いブラジャー。
胸のカップには
ゴムみたいな肌色の詰め物。

下も
履いてるのは女性モノの下着だけど
そこには通常無いはずのものが付いていて。


和也「…どーゆーこと…?」

Lily「見ての通りよ。
アタシは、男。」



自嘲気味に言うLilyに
かける言葉がなかった。



和也「風邪、引くから…」

タオルを奪ってLilyの身体を包んで
強引に部屋に上がらせた。


和也「濡れて気持ち悪いだろ?
下着も全部脱げや。
俺ので良ければ貸すから…」

Lily「ん…。」


Tシャツにボクサーパンツにスウェット。
男の俺の服を着させても
Lilyは“彼氏の服を借りた彼女”にしか見えなくて。


Lily「本名はね、ケンジって言うの。」

古い電熱器のオレンジがLilyの肌に当たって綺麗だった。


和也「そう…」

Lily「驚かないの?」

和也「いや、そりゃ驚いたけど…
つーか、よく今までバレなかったね?」

Lily「触られなきゃ、わかんないわよ」

和也「そんなもん?」

Lily「そんなもんよ」


バックからメイク道具を取り出し
『酷い顔』なんて笑いながら化粧を落とし始めた。


Lily「ナルは…」

和也「カズナリ。」

Lily「え…?」

和也「俺の名前。」


化粧を落として幼さを増したLilyが一瞬驚いた顔をして
そして、ふわりと微笑った。

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