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にじいろ。

第27章 背徳の瞳。

Lily「カズナリはホント、優しい子ね」

和也「どのあたりが?」

Lily「だって、アタシが男だって知っても気持ち悪がったりしない。
何も変わらないから…」

ちょっとやそっとじゃ驚かないよ。
俺の過去よりマシだ…


Lily「カズナリ、って呼び辛いわね。
長いわ。」

和也「『ナル』でいいじゃん?」

Lily「二人の時は本名がいいかな」

和也「じゃあ、俺も『ケンジ』って呼ぼうか?」

Lily「それはやめてもらえる?」


二人してプッと吹き出した。


 〜♪ 〜♪


Lily「なんか鳴ってる」

和也「あぁ。」


オーナーからの電話だった。
とてもじゃないけど家から出られないから
今日は臨休にするそうだ。

和也「俺ら、雨に振られて散々っすよ?」

オーナー『すまんなぁ。
この雨じゃLilyも家に帰れないだろうし
店の中好きに使ってくれていいから、なんとかそこで凌いでくれるか?』

隣りで聞き耳を立てていたケン…Lilyが
うんうんと頷くから
『わかりました。』
と言って電話を切った。



Lily「お腹空いてるんじゃない?」

和也「あぁ…少し。」

Lily「冷蔵庫の中のモノ、使っちゃっていいんでしょ?
アタシ、何か作るよ」


サンダルを突っかけてドアを開けたLilyの後を追って
俺も厨房へと向かった。




雨は、まだ止まない。

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