テキストサイズ

にじいろ。

第27章 背徳の瞳。

他人が作った料理を
向かい合わせでこんな風に食べるのはいつぶりだろう。

俺たちはそれをつつきながら
色んな話をした。


Lily「恋人は居ないの?」

和也「今は…居ないよ。」


Lilyが口に手を当てて
ファーッと欠伸をする。


和也「眠いの?」

Lily「うん、少しだけ。
アタシ、ここで寝るわ」

和也「毛布一枚しか無いよ?」

Lily「ホントに?」


部屋に戻って襖を開けてみるけど
予備の毛布や布団はどこにも見当たらなくて。


和也「ここで寝たら?」

Lily「そういう訳にはいかないわよ」

和也「風邪引きたいの?」

Lily「なんか、喋り方が柔らかくなってる。」


気を許したせいだろうか
気付けばいつしかあの頃と同じ喋り方に戻っていた。


Lily「こっちがホントのカズナリ…だったりして?」

和也「どっちの俺も、俺だよ」


結局
一つのシングル布団に二人
背を向け合って眠ることにした。


窓枠に激しく打ち付ける雨音が部屋中に響く。
どこもかしこも臨休なのか
いつものピンク色のネオン管の光は点いていなくて
真っ暗な部屋に接触不良の電球だけが
チカチカと点いたり消えたりしていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ