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にじいろ。

第27章 背徳の瞳。

背中越しの温もりに
なかなか寝付けずにいた。


Lily「ねぇ…もう寝た…?」

和也「起きてるよ」


なんだ
眠かったんじゃなかったのか。

Lilyが寝返ったのがわかった。
俺の背中に頭をくっつけて
『ありがとう』
と言った。


和也「俺、なんもしてないよ?」

Lily「だって、嬉しかった…」

男だと打ち明けても何も変わらなかった俺の態度が
よっぽど嬉しかったんだろうか。



Lily「カズ…」



ドキッ、とした。
同じ呼び方をしてたあの人の顔が
一瞬脳裏を掠めた。



俺は寝返って
Lilyの方に身体ごと向き合わせた。
驚いたように顔を上げたLilyの頬に
そっと手を添える。





和也「ケンジ」


Lily「やだ、本名で呼ばないでよ…」


和也「ケ ン ジ」

Lily「何よ…」




どうしてそんなことをしたのかと聞かれたら
自分でもよくわからない。
でもこの時俺は
そうしたくてたまらなかったんだ。


固まるLilyの身体を引き寄せて
ギュッと抱きしめた。

Lily「ちょっと…! カズっ…」


和也「…温かいだろ?」

Lily「うん…あったかい。」


Lilyが自然と身体の力を抜いたから
俺も抱きしめるその腕の力をを少し弱めて。

三秒見つめると
目を逸らされなかったことを確認してから


ゆっくりと
唇を重ねた。

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