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にじいろ。

第27章 背徳の瞳。

雅紀「なんか随分雰囲気変わったね…
服、取りに来たんだ…?」

和也「…これで最後だから。」

雅紀「そう…」


最後の会話が『そう』かよ…
そりゃそうか。
俺ら、もう終わってんだもんね。

ジーンズのポケットに入れていた家の鍵を
フローリングの上に置いた。


雅紀「もう、家には帰ってこないってこと…?」


和也「これで最後、って言ったじゃん。」


服をぐちゃぐちゃに入れたから
あんまり入らない。
ギュウギュウに押し込んで
無理矢理ファスナーを閉めた。



― コンコン ―



ガチャッとドアが開くと
知らない男が立っていて。

誰だよ、コイツ…
何? コイツと付き合ってんの?
俺は思わず目を逸らした。

雅紀「下で待っててって言ったろ?

あっ!ちょっ…!」


トントン。

肩を叩かれて振り返ると
さっきまでドアのとこにいたその男が
俺のことをじっと見ていた。

和也「…なんか用?」


ソイツは俺に向けて手を伸ばし
両手で四角を作って見せた。


和也「は…? なんなの?」

雅紀「ヒカル…!」


ヒカル…?
へぇ…呼び捨てにする仲ってことね。



ソイツは見覚えのあるタブレットを取り出して
操作し始めた。

なんなんだよ、うぜぇな。

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