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にじいろ。

第28章 生きることの意味、死ぬことの答え。

〜 和也Side 〜



深夜に知ら番からの着信があった
いつもなら放置するけど
今日に限ってはなんだか胸騒ぎがした。

出ようか出るまいか
迷ってる間に電話は切れた。
こんな時間だし、かけ直すこともないか…
テーブルの上にスマホを置こうとした瞬間に
また着信音が鳴った。


不機嫌を装って電話に出る。

和也「…もしもし」

小園「和也くんかい?」

和也「小園さん…?」





財布とスマホだけ持って
家を飛び出した

ケンジが後ろで何か言ってたけど
まるで耳に入ってこなかった。


大通りに出るとタイミング良くタクシーが捕まり
病院の名前を告げる。

『急いでもらえますか!』





病室の前では
廊下の壁にもたれかかって
顔を覆うあの人の姿と
あの人の肩を抱く小園さんの姿があった。


既に機械は取り外され
顔に白い布が掛けられたおばさんを見て
ようやく状況を理解した。




和也「…あーちゃん……」




俺は小さい頃
おばさんのことを『あーちゃん』と呼んでいた。
あの人が『かぁーちゃん』と呼ぶから
『か』を取って『あーちゃん』と呼んでたんだ。



和也「あーちゃん…  あーちゃん…!!」




何、勝手に逝ってんだよ

俺まだなんも親孝行してねーよ


あんなに世話になったのに…

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