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にじいろ。

第28章 生きることの意味、死ぬことの答え。

朝になったら遺体を家に連れて帰るそうだ。


小園「和也くん、一度帰るかい?」

仕事終わりのままの格好で駆けつけたから
ホントは生替えに戻った方がいいのはわかってたけど…


和也「いや… 俺、残りますから…
小園さん、戻ってください」


小園さんが仮眠と生替えに戻れば
此処には必然的にあの人と二人きりになる。
気まずいのは承知だ。


小園さんが仮眠室から出ていくと
一層静けさが増す。



和也「少し寝たら…?」

目を合わせずに言った。

雅紀「ありがと… かずも寝た方がいいよ」


六畳ほどの仮眠室の真ん中にテーブルを寄せて
それを挟んで左右に一組づつ布団が敷かれていく。


和也「飲みもん買ってくるわ…」

いたたまれずに仮眠室を後にした。
病院の外にある喫煙所に向かう。

胸のポケットから取り出した煙草はラスイチで
火を点けると箱をグシャリと捻り潰した。



『あんた達、ホント仲良しね』

そう言ってよく微笑んでいたあーちゃんの顔が目に浮かぶ。

お互いに好きなんだとカミングアウトした時も
優しい眼差しで受け入れてくれた。


『自分の息子たちだもの、演技か本気かくらいわかるわよ』

ずっとずっと
俺達の知らないところで見守っていてくれてたんだ。



和也「あーちゃん… 俺、どーしたらいいのかな…」


こんなギクシャクした俺達の関係
あーちゃんは望んでないってわかってるのに。

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