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にじいろ。

第28章 生きることの意味、死ぬことの答え。

ギュッと握り合った手は温かくて。
二人で枕飾りの前に座り
まーくんが線香を持って
俺が火を点け、立てた。


雅紀「そう言えば…帰ってきてから煙草吸ってないでしょ?
我慢してる?」


言われてみればそうだった。
忘れてただけで
我慢してたわけじゃなくて。

和也「…ここに居ると
必要なくなるみたい。」


繋いだままの、手。
その手の甲にチュッとキスされて
思わす顔が紅くなる。

和也「あーちゃん、見てるからっ…」


不謹慎だと思われるかもしれない。
それでも
ドキドキしてしまう。


雅紀「変わってないね、かず」

和也「へっ…?」

雅紀「真っ紅になっちゃうとことか
全然変わってない。
見た目は変わったけどね。」


金色に染まった俺の髪を
クルクルと弄ぶ。


雅紀「なんで金髪にしたの?」

和也「オーナーの、勧めで、さ…」

雅紀「オーナー?」


和也「あー… 俺ね、今、ミュージックバーで専属のシンガーやってんだ…」

雅紀「歌で生活出来てる、ってこと?」

和也「一応そうなるかな。
まぁ、雑用とかもやんないと小遣い程度にしかならないんだけどさ…」


こんな風に
自分の生活状況を
まーくんに話す時が来るなんて思ってもみなかった。


雅紀「そっかぁ… なんか、安心した。」



Lilyとのことが頭を掠めて
苦しくなる。

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