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にじいろ。

第30章 虹色。

〜 雅紀Side 〜



雅紀「俺に聞かせたい曲…?」

Lily「ナルがずっと温めて書いてきた曲があるのよ。
雅紀くんに会った時
この曲の“あなた”は雅紀くんで
“わたし”はナルなのかなって思ったの」



真っ白なグランドピアノの前に、かずが座る。

なんだか凄く緊張する。



〜♪  〜♪



かずの指が奏でるのは
優しくて切ないメロディー。

俺の知ってるかずじゃなくて
シンガーのナルが、そこに居た。




♪あなたがくれた 大きな愛が
抱きしめた 大きな手が
わたしの過去も傷跡も
全部包み込んだ

決して交わることのない
空の青と 海の青が
あの夏の夜に 溶けて一つになった…♪



かずを新宿の公園まで迎えに行った
あの日のこと

夏の海で
結ばれたあの夜のこと


この半年で
色んなことがあったよね、俺達…



♪『離さない』と誓った あの約束も
愛しすぎて見失ってしまったの

手放した“タマシイのカケラ”
あなたは“もう一人のわたし”…♪



かずが出ていったあの日のこと。
まるで廃人だった。

かずが居ない
それだけでもう
この世の終わりのように。




♪あなたと紡いでく
未来は虹色
あなたと描いてく
未来は虹色…♪

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