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0時の鐘が鳴る前に

第1章 菜津子の部屋

わ、わたし今とんでもないことを……

自分で招いてしまった修羅場に、他人を巻き込むなんて…

美奈ちゃんの言う通り、最低だ。

とにかく、謝らなきゃ!

そう思ってカフェラテを飲み干したとき、西日でオレンジ色に染まったテーブルにふと影が落ちる。

「あれ?友達はもう帰ったの?」

低く心地よいその声に顔を上げると

さっきまで高橋君が座っていた目の前の席に、イケメン店員が腰を下ろしていた。

エプロンの代わりにパーカーを羽織っているから、“もうすぐ上がれる”っていうのは本当だったようだ。

「で?さっきのあれ、何?」

いつもの営業スマイルと何処か違うその笑みに、背筋が凍るのを感じながら私は慌てて頭を下げる。


「す、すみませんでした!あんな無茶振りしてしまったのに、演じてくださってありがとうございます!凄く助かりました!」

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