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0時の鐘が鳴る前に

第1章 菜津子の部屋

それから私は、菜津子の部屋について彼に説明した。

恋愛経験豊富キャラなのに、本当は彼氏なんていないってことも。

「あー。それで修羅場を迎えた君の彼氏役に抜擢されたってわけね。」

「はい…すみません…」

自分で経緯を言葉にしたら、余計情けなくなってくる。

「菜津子ちゃん、だっけ?」

彼のにこやかな笑顔はやっぱりどこか怖い。整いすぎてるからかもしれない。

無言で頷く私を見ながら、更に笑みが深まって行く。

「来るたびに違う男連れてくるから、凄い遊び人なんだと思ってた。」

うっ…そんなこと思われてたなんて……

「常連さんだし、これ以上お店で揉められても面倒だから協力したんだけど。よく咄嗟にあんな嘘つけるね。」

あんまり褒められた気がしないのは、後ろめたさがあるからだろう。

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