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0時の鐘が鳴る前に

第2章 100日間の恋人ごっこ

* * *

「こんにちは〜」

いつものオシャレなドアを開くと、心地よいジャズのメロディが流れてくる。

「いらっしゃいませ」

そう言って出迎えてくれたのは、今日も私の彼氏役に抜擢されてしまった広末さんだった。

「あれ、今日は人数多いね?」

私の後ろからぞろぞろ入ってくる友達に、彼は一瞬驚いた表情を見せる。

そりゃそうだ、今までいつも誰かと2人っきりだったから。

「実は……みんな、私の彼氏を見たいって言って来ちゃったんです…」

私の小さな声に彼は目を見開くと、私だけに聞こえるように「しょーがねぇな」と呟いた。

「初めまして、菜津子の彼氏の広末浩太です。」

私の後ろで騒いでいた女子達は、広末さんの笑顔に見惚れて口を閉じる。

「俺の彼女と、仲良くしてくれてありがとね」

そんな台詞と共に私たちは席に案内されて、立ち去る彼の背中を見送った途端に歓声があがった。

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