テキストサイズ

0時の鐘が鳴る前に

第3章 キラキラ、ふわふわ

自分でも、なんでそんなことを言ったのかは分からない。

俺の言葉を聞いた彼女は、一瞬目を見開いてから嬉しそうに笑った。

「ありがとうございます。広末さんって本当に良い人」

休日の電車は、そんなに混んでいなかった。

2駅電車に揺られて、隣町に降り立つ。

少し歩いて辿り着いたのは、プラネタリウム…ではなく、近くの水族館だ。

「え…?」

戸惑う彼女を待たせて二枚チケットを買うと、クラゲの写真がプリントされたそれを手渡した。

「プラネタリウムまで、時間あるから」

慌てて財布を取り出す彼女の手を押しとどめ、そのまま片方の手を握る。

…人の手って、こんなに温かかったっけ。

「えっ、あ、あの…お金…」

「初めてのデートくらい、払わせろ。その代わりはぐれんなよ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ