テキストサイズ

0時の鐘が鳴る前に

第1章 菜津子の部屋

「ふぅん。じゃあ、写メ見せなさいよ。」

そう言って美奈ちゃんは、テーブルの上から私のケータイを取り上げる。


まずい。そんな写真なんて、有るわけないじゃん。いないんだから。

冷や汗をかいて思考をフル回転させていると、

こんなタイミングでカフェラテが運ばれてくる。

「カフェラテをご注文のお客様、お待たせしました。熱いので、お気をつけください。」

修羅場なのを分かっているはずなのに。

店員は、にこやかに定型文を唱えてその場を立ち去ろうとする。

今日も最高に格好良い……って、そうじゃなくて!

助けてくれてもいいじゃない…!

私は後先考えず、藁にもすがる思いで、店員の彼の腕を咄嗟に掴んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ