和服男子に恋されて
第2章 アプローチ
「んう……」
柔らかい感触が唇へ伝わってきた途端ギュッと両目を閉じ、唇が離れていくのをただ体を強張らせながら持つ。
そして、ゆっくり唇を解放されたと分かると、そおっと目を開き、目の前の笑顔に目を見開いたままの表情で語り掛ける。
「先生……何で、キスなんか……」
困惑し過ぎたせいで今にも泣き出しそうだった。
そんな弥子に対し、龍一は笑顔だったかと思えば急に真面目な顔をすると、甘く囁く。
「弥子さん、私も一人の男なんですよ? 好きな子に手を出したいと思うのは当たり前でしょう?」
その表情と言葉は普段の龍一からはとても想像が付かず、弥子を戸惑わせるばかりだった。