和服男子に恋されて
第1章 告白
元々龍一のことは尊敬している。
高校二年生の時に両親が離婚し、無一文で行く当てがなく、面接に来た弥子を龍一は快く働かせてくれた。
アルバイトなんて初めてで、家事もろくに出来なかった弥子に優しく家事を教えたのも龍一で、弥子にとって龍一は恩人とも言える存在。
だから告白されて困る理由にも繋がるのだが。
「付き合う……? なんて私、無理です……」
「何故でしょうか。……私のことを恋愛対象として見れませんか?」
優しく質問する龍一に対して弥子がこくんと頷くと。
龍一は弥子の両肩を掴んで、渋々と弥子の体から体を離す。
「……今日のところは諦めます。しかし、今後絶対に諦めません。弥子さん、覚悟しておいてくださいね?」
その言葉に弥子は黙ったまま、自分に起きたこの状況に対して戸惑うしかなかった。