10年愛
第1章 『初恋』
未来ちゃんと話してたら、
チャイムが鳴り教室の戸が、
ガラッと空いて担任の先生と、
その噂の転校生の男の子が、
教室に入って来た。
彼を一目見た瞬間にあたしの、
心臓は波を打って高鳴った。
『皆、おはよう。
今日からこのクラスに入る、
転校生の早瀬くんだ。
早瀬。挨拶して。』
彼は黒板に
『早瀬拓哉』と力強く書くと、
あたし達に振り返り、
『はじめまして。
早瀬拓哉です。皆さん、
よろしくお願いします。』
と、深々と頭を下げた。
見上げた彼を見た途端、
あたしはドキドキが止まらなく、
なって居た。
そう、あたしは転校生の彼に、
一目惚れをしてしまった。
---そう---
初恋だった---
あたしの初めての、
恋の始まりだった---
---早乙女華恋---
生まれて来て初めて、
訪れた恋の相手は、
笑顔が素敵で優しそうで、
身長が高くスマートで、
涼しげな瞳とちょっと、
栗色掛かったサラサラの髪の、
彼はどれを取っても今時の、
女子達がほっとく訳が無い程の、
美少年だった。