素晴らしき世界
第15章 それはやっぱりあなたでした
仕事を終え、帰り支度を整える。
「お~い、大野」
今日は魔の金曜日……
いつものくだりがまた始まる。
「今日こそ飲みに行こう!」
俺の肩に手を回してくる。
もう、酔っ払ってるのか?
「いやっ、今日はちょっと……」
やんわりと回された手をほどいた。
「毎回毎回、断りやがって」
「この前は行ったじゃないですか……」
いつも断るのも良くないと思ったので、
前回は仕方なく参加した。
金曜日は早く帰りたいんだよ……
「彼女と別れたんだろ?」
「だから、違いますって……」
どうして俺の心に土足で入ってきて、
傷に塩を撒くかなぁ……
別れてなんかいない。
俺たちは恋人になったんだ。
上司にビシッと言ってやりたいが
俺の恋人はもういない。
でも、俺はいつまで経っても
諦めきれないでいる。
金曜日になれば
帰ってきてくれるかもしれない。
最初に出会った日のように、
俺の部屋に現れてくるかも……
だから、一分でも早く家に帰りたい。
「まぁまぁ、前回参加したんだし
今回は我々だけで楽しみましょ?」
「次回は強制参加だからな!」
上司は部下を引き連れ飲みに出掛けた。
「悪いな……」
さっき助け船を出してくれた後輩に謝る。
「ウザいかも知れないですけど、
国分課長、大野さんのこと心配してますよ?
元気ないから……」
「えっ?」
「来週は飲みに行きましょうね?
お疲れさまです」
後輩は国分課長の後を追いかけていった。
そう言えば前に飲みに行ったときも、
やたらと話しかけてくれていた。
少し申し訳ない気持ちになった。
来週は参加しよう……
遠くに見える国分課長に深くお辞儀をし、
帰り支度を済ませ、会社を出た。
駅を降りて、自宅に向かう途中
何故だか食事処が目に入った。
こんな所にお店あったっけ?
そんなことを思いつつ、家路を急いだ。
家がどんどん近づいてくる。
きっと、明かりはついていない。
でも、もしかしたら……
諦めとほんの少しの期待を胸に
ゆっくりと自分の部屋に目をやる。
「ウソ……」
窓から部屋の光が漏れている。
3ヶ月もの間、
待ち望んでいた風景がそこにあった。
部屋には俺の愛する人がいる……
やっと、二宮さんに会える……
俺は階段を駆け上がり、ドアを開けた。
「お~い、大野」
今日は魔の金曜日……
いつものくだりがまた始まる。
「今日こそ飲みに行こう!」
俺の肩に手を回してくる。
もう、酔っ払ってるのか?
「いやっ、今日はちょっと……」
やんわりと回された手をほどいた。
「毎回毎回、断りやがって」
「この前は行ったじゃないですか……」
いつも断るのも良くないと思ったので、
前回は仕方なく参加した。
金曜日は早く帰りたいんだよ……
「彼女と別れたんだろ?」
「だから、違いますって……」
どうして俺の心に土足で入ってきて、
傷に塩を撒くかなぁ……
別れてなんかいない。
俺たちは恋人になったんだ。
上司にビシッと言ってやりたいが
俺の恋人はもういない。
でも、俺はいつまで経っても
諦めきれないでいる。
金曜日になれば
帰ってきてくれるかもしれない。
最初に出会った日のように、
俺の部屋に現れてくるかも……
だから、一分でも早く家に帰りたい。
「まぁまぁ、前回参加したんだし
今回は我々だけで楽しみましょ?」
「次回は強制参加だからな!」
上司は部下を引き連れ飲みに出掛けた。
「悪いな……」
さっき助け船を出してくれた後輩に謝る。
「ウザいかも知れないですけど、
国分課長、大野さんのこと心配してますよ?
元気ないから……」
「えっ?」
「来週は飲みに行きましょうね?
お疲れさまです」
後輩は国分課長の後を追いかけていった。
そう言えば前に飲みに行ったときも、
やたらと話しかけてくれていた。
少し申し訳ない気持ちになった。
来週は参加しよう……
遠くに見える国分課長に深くお辞儀をし、
帰り支度を済ませ、会社を出た。
駅を降りて、自宅に向かう途中
何故だか食事処が目に入った。
こんな所にお店あったっけ?
そんなことを思いつつ、家路を急いだ。
家がどんどん近づいてくる。
きっと、明かりはついていない。
でも、もしかしたら……
諦めとほんの少しの期待を胸に
ゆっくりと自分の部屋に目をやる。
「ウソ……」
窓から部屋の光が漏れている。
3ヶ月もの間、
待ち望んでいた風景がそこにあった。
部屋には俺の愛する人がいる……
やっと、二宮さんに会える……
俺は階段を駆け上がり、ドアを開けた。